歯の矯正は、笑顔や見た目の美しさだけでなく、全身の健康管理の指標でもあります。
歯の形や並び方に対する考え方は、お国柄でいろいろなケースがあります。日本では昔から「八重歯」は可愛さの象徴として、アイドルや女優のみなさんでもトレードマークにされる方も多かったですが、外国に行くと「ドラキュラ」を連想させるため、あまり好まれてはいません。逆にアメリカやヨーロッパでは「すきっ歯」は隙間から幸福が入ってくると言われて、わざわざ前歯に隙間を作る方もいます。 ただ総じて言えるのは、そういった文化的・風習的な違いは近年になって段々と薄れてきていて、やはり歯の状態は健康でキレイに揃っていることが前提、という考え方に変わってきている、ということです。 特に女性の方の場合、歯ならびの悪さがコンプレックスとなって、人前でうまく話せなかったり俯きがちになったり、声が小さくなったりされる方もいらっしゃいます。 歯ならびの矯正を考える方は、このようなメンタルな理由が第一になります。 やっぱり笑顔やお口元の美しさには、誰でも自信を持ちたいですよね。
歯並びの矯正治療と言うと、その審美面ばかりが強調されがちですが、食べ物を咬むこと・発音・呼吸などの機能と一体の関係にあるからこそ、見た目も美しいのです。 不自然な位置にある歯やあごの形を整え、しっかりしたかみ合わせと、まっすぐならんだ美しい歯並びをつくりだし、体のバランスを整えることが非常に重要です。 歯並びがよくなると、食べ物をしっかりと咬むことができ、歯みがきもきれいにできるので、口の中の健康はもとより、消化を助けてからだ全体の健康にもよい結果をもたらします。 きれいに並んだ白い歯で、健康と自信に満ちた明るい生活を!当院では、それを目標にしています! 歯ならびの矯正治療では、上のような審美面が強調されがちです、が、歯科的な見地から見るとお口の健康、身体の健康面から考えても、なるべく早いうちに歯ならびは整えておいたほうがいいのも確かです。 歯ならびは発声・発音・呼吸・咀嚼といった機能面にも密接な関係があり、特に口呼吸の場合は口臭などの影響も出るケースがあります。 また歯ならびが悪いと日常のブラッシングなども難しくなって、特定の場所にむし歯も発生しやすくなったりします。 美しさの改善、お口の機能性の改善、健康面への影響などを考えたら、なるべく早めに専門家の診察を受けていただきたいと思います。 人によっては歯ならびの悪さで何年も悩まれている方もいらっしゃいますが、意外と簡単な治療で改善するケースもありますので、まずはお気軽にご相談ください。
歯が動く仕組み!
右図で示す通り、歯は「歯槽骨(しそうこつ)」と呼ばれる歯ぐきの中の堅い骨と、その歯槽骨と歯の間でクッションの働きをする「歯根膜(しこんまく)」によって支えられています。 堅いものを噛み砕いたり、強い食いしばりにも耐える歯が、矯正治療によって動くなんて不思議だと思いませんか? 実は歯は上下(かむ方向)の力には相当強いのですが、ブラケットとワイヤーでかかるような、左右や前後の力には弱いという性質があります。また、歯に弱い力をかけ続けると、歯はその方向に徐々に動いていきます。これは歯に一方向の力を加えると、片方の歯根膜はつぶされ、反対側は伸ばされます。 その状態の時、つぶされた方の歯槽骨は少しずつ吸収され、逆に伸びた側では隙間を埋めるように歯槽骨が増加し、歯の根の状態をバランスよく保とうと作用するのです。 矯正治療では、歯が持つこの生体メカニズムを利用して歯を動かしているのです。
何が困るのでしょう?
不揃いな歯ならびや悪いかみ合わせは、主に次の3つの問題があると考えられています。
1. 歯と口と顔の健康的な美しさが損なわれていることで自分に自信が持てなかったり、 他人に悪い印象をあたえるといった心理的・社会的な問題が生じる。
2.下あごの運動障害(筋肉の不調和または痛み) 顎の関節の病気(顎関節症) かむ、飲み込む、発音するなどがうまくできない 姿勢が悪く、めまい・偏頭痛・肩こり・腰痛などがある などの機能障害がおきる。
3. 歯周病(歯槽のうろう)、う蝕(むし歯)にかかりやすくなる。
現在では特に心理的・社会的問題が重要視されるようになりました。 しかし、歯列矯正の本来の目的は、これら3つのすべてをバランスよく改善することです。 美容目的のみを優先させる治療は安易な方向へ流れがちなため、 他の問題がないがしろにされないように注意が必要です。
矯正治療をしたほうがよいのでしょうか?
歯列矯正に対する意識の高い歯科医師は、自分がホームドクターとなって管理している患者のなかで、 歯並びが悪くなる危険のある子供、ある程度以上のデコボコ・出っ歯・受け口の方、歯並びやかみ合わせがむし歯や歯周病の大きな原因になっていると思われる方などに歯列矯正治療のカウンセリングを勧めることがあります。 自分の患者に質の高い健康を提供するためには、 実際に治療をされるかどうかは別としても、情報を与えることも大切な職務の一つだからです。 歯列矯正の話を最初に聞かれたとき、 もともと少しでも口もとにコンプレックスをお持ちだった方(もしくは保護者の方)は“やはり!”と思い、 全く気にしたこともなかった方は“どうして?”と思われるようです。 たとえなんらかの症状があったとしても、 またその症状が口や歯の健康に害を及ぼす危険があったとしても、 歯並びやかみ合わせが気になっているかどうかで問題意識は大きく異なることでしょう。 治療後には良い歯並びと正しいかみ合わせ、自然な口もとや美しい笑顔などの素晴らしい結果が待っていますが、 そのかわり装置の使用や通院の手間などの不快な面もありますし、ある程度の期間やお金も必要です。 最終的にはご自身で判断していただくしかありません。 歯列矯正によってもたらされる利益をよく評価した上で、ご自分にとっての治療の必要性を判断してください。